妊娠ダイアリー

2019年10月頃に出産することになりそうです。

妊娠判明前夜から初めての受診までの色々

今日、初めて産婦人科に行き、受精卵が子宮に着床したことを確認できた。実は胎児の生死は日数的にまだわからなかったりと先はまだまだ長いが、とりあえず一区切りだ。

たった一週間のことだが、妊娠、初めての経験ばかりだったので、記録がわりに書いておく。

できれば、妊娠がどんなものか想像できなかった過去の自分のような、妊娠を経験したことがない人(男女問わず)に、伝わるように書きたい。平凡かつ、すごく恵まれた妊婦の話だと思います。

■体調について

妊娠の兆候は、生理が遅れたことからしか見出せなかった。ただ、生理が始まるであろう日のあたりから、恒常的に胃がもたれ、下腹部が痛むようになる。その胃もたれは日々存在感を増し、ときに空腹、ときに吐き気に姿を変えるモンスターに成長しつつある。妊娠特有の気持ち悪さというのはなく、悪酔いしたときと同じような感覚。下腹部の鈍痛は日や時間によって増えたり減ったりする。おなかにボーリングの球を載せたような痛みで、特に右側が痛い。これらは体調不良のレギュラー。

5週目に入る頃から眠気と胸の張りもベンチ入りし、それなりの頻度で活躍するようになる。

つらさの感じ方は人それぞれだと思うが、私は、これらはひとつひとつは日常でもありうるつらさで、例えば仕事を休むほどではないと感じた。ただ、ここまで集中して起きると、妊娠を疑わなくても医者にかかりたくなると思う。

■情緒について

妊娠判明の日こそ泣いたりしたが、その後はプラスにもマイナスにもふれず、安定的に安定している。考えられる理由はいくつかあって、まずは体調がそう悪くなく、さらに不安な症状がほとんどないこと。最たるものは出血で、妊娠初期の出血は本当によくあることのようだが、とはいえ量や色次第では流産が差し迫っていることを疑わなければならない。私の場合、その出血が一切ないため、良くも悪くものほほんと過ごしていられる。しかも、ホルモンの影響なのか、頭がぼんやりとしているのだ。

次に、妊娠の希望具合と妊娠したタイミング。「子供は望んではいるけど、いなくてもそれはそれで構わない。いらないというわけではないし、ちょうど子供を迎えられる環境だから妊活をしてもいいかな」くらいの心構えでいたら結構すぐに妊娠することになった。それで、例えば嬉しさのあまり強く不安を感じたり、逆に妊娠に戸惑ってしまったありするようなことがないのかもしれない。

あとは、もともとの気質も関係していると思う。全然いいことじゃないけれど、私はドライとか冷たいとか言われるような性格で、淡々と妊娠のことを受け入れているような気がする。

また妊娠して優しい気持ちになるようなこともなく、今まで通りむかつくことがあれば「ぶっ殺すぞ」みたいなことを心の中で連呼している。ただ、そんな中でも、なぜか涙もろくなった。しかも対象は妊娠とか子供以外のこと。さっぽろ雪まつりのニュースで「大坂なおみ選手がU.S.A.を踊る雪像(市民が制作)」の映像を見て、突然涙がこみあげた。大坂なおみ、全豪がんばったなあ。DA PUMPもこんな風に取り上げられてよかったなあ。そしてこれを作った名もなき誰か、ありがとう。みたいな感情がスパークした。これは妊娠判明前日に起きたことで、自分が自分の妊娠を疑う決定打になった。他の悲しいニュースにもつい泣いてしまうなど、なぜか涙腺だけはだいぶ不安定になった。

■「明日の予定もわからない」ことと「透明人間感」について

いつも胃腸が気持ち悪い。おなかはすいているので何か食べたい。でも、食べたいものがわからない。予定を入れようにも、いつどんな体調になっているか想像がつかない。もしかしたら妊娠がだめになって、落ち込んでいるのかもしれない。でもそこまで落ち込んでいないのかもしれない。明日というか、1時間後の自分がどんな感じなのかわからない。もはや1年後に自分がどういう生活をしているのかなんて、もう、本当に、わからない。

妊娠してからデジモンの世界に飛ばされたみたいだ(アニメの内容は一切知らないため、主題歌でのみ判断)。

社会の流れは妊婦や体調不良者と関係なく進む。電車は時間通りに出発し、東京オリンピックは2020年に開催される。一歩先の未来すらわからない私は、少しずつ社会から取り残され、体が透明になっていくような気がする。ただ、ここで言う「社会」は「社会のすべて」ではなのだと思う。「職業社会」とか「男社会」と呼ばれるような社会からは、私は置いてきぼりになりそうだ。でも、「地域社会」みたいな場所には、いることが許されるのかもしれない。まあ、希望的観測だけど。

■「妊娠業界」について

これを一番書きたい。

何にでも、「業界」がある。マスコミの業界人なら、「俺は芸能人にたくさん友達いるよ〜」と、カーディガンを肩にかけて自慢するおっさんとか。「撮れ高」とか「巻きで」とか「てっぺん」とか。

結婚とか妊娠にも、「業界」があると私は思っている。未経験の者には無縁の経験や、それを表現する独特の言語は、どういう世界にもある。そういうものを「業界用語」と言う。結婚業界にすぐなじんだ人は、妻のことを「嫁さん」とか呼んだりする。妊娠業界にもいろいろある。まず「週」。あれだけ世間では「妊娠何ヶ月」というのに、業界では妊娠の期間を月ではなく週で数える。あとは、「(妊娠検査薬の)陽性」とか「(基礎体温の)高温期の何日目」とか、本当にいろいろ。

私は業界の新参者で、まだ業界人であることに照れがある。

妊娠関係のものをドラッグストアで買うとき、単品で買うことができず、無関係の何かを一緒にレジに持って行ってしまう。検査薬と洗剤。葉酸のサプリとリップグロス。などなど。

使い方が合っているのかわからない用語もある。一般的にも有名な「つわり」だ。いつも気持ち悪いけれど、これを「つわり」と呼んでいいのかわからない。そもそも人によって症状が大きく異なる現象なので、明確な定義がないことも災いしている。体調不良を「つわり」と言い切り、「つわりがつらいなぁ」みたいな会話をするのは、なんだか業界人っぽくて恥ずかしいのだ。そう思う妊婦は結構いるんじゃないかなあ。POSの記録とか見たらおもしろいんじゃないかと思う。

以上、妊娠してから考えたり経験したりしたことを書きつづってみた。個人的な体験ではあるけれど、誰かの参考になったり、共感して安心してもらえるようなことがあったら嬉しいです。